コラム スワローズは点をとるのが下手なのか?
昨年スワローズは打率は6球団1でありながら、得点は一番低かったため、「点取り下手」のイメージが定着、4位低迷の原因とされました。確かに目をつぶると好機に岩村の三振やラミレスのゲッツー、のシーンが思い出されます。今年も見事にその新伝統を受け継いでおり、ラミレスのゲッツーはリーグトップの13、岩村の三振はリーグ2位の78、という惨状です。せっかく得点圏打率リーグ1位、出塁率同2位の青木が一番にいるのを十分に生かし切れていない可能性があります。スワローズは1点差、2点差の試合を大きく負け越しており、あと1点とれていたら、と悔やまれる試合も皆さん多く記憶されていると思います。こういう時にきちんとした野球ができていれば、もう少し上位との差が縮まっていたかもしれません。
では、きちんとした野球、とは一体どんな野球でしょうか?それは、1点を取れるときにきっちりととれる野球、ということに他なりません。いいかえれば、効率のよい攻撃をいかにできているか、ということになります。
最近のヤクルトはソロホームランでしか点がとれず、連打で点をあまりとっていない、という印象があり、確かにそれを考えるととても効率が悪い攻撃を行っているといえます。投手陣が元々弱いのに、さらに効率が悪い攻撃をしているようなら、上に行けないのは当たり前とも思えます。
かつて、野村ヤクルト時代はとても点をとるのが上手い、試合巧者だ、といわれてきましたが、本当に今のスワローズは点をとるのがど下手な球団に成り下がってしまったのでしょうか?そして、現在スワローズより上位にいる中日や阪神は、もっと点をとるのが上手いのでしょうか?打撃陣の質に差があるのでしょうか?もしあるとしたらそれは監督の采配の差、ということにもつながってきます。オレ竜落合氏やオトボケ岡田氏の方が古田さんより采配が良い、というのではID野球継承者としての古田さんの名誉にも関わってくるので具体的に検証してみることにしました。
まず、得点の効率をはかる指標としてよく使われているものに、「残塁」があります。間接的には試合毎の残塁が多いチームほど点を取るのが下手、ということになるので簡単便利な指標なのですが、私は毎日スポーツ新聞で全チームの全試合の残塁をチェックしているわけではなく、ネット上のバックナンバーで各試合の残塁を記しているメディアがないためこれを数えて得点効率を調査することは諦め、安打と得点との関係から「得点効率」を導き出すことにしました。
よく「11安打で3点しかとれない」、などということを言います。これは明らかに「効率の悪い」攻撃です。なぜならば、もし11安打が同じ回に出ていれば、もっとたくさん点がとれているはずだからです。こういう試合では、大抵ヒットは出るが、ランナーを進めることができずに後続が凡退することで点がとれない、いわゆる「散発」という状態になっています。本来ならばそれに四球や犠打などを加えることでより点をとり効率をよくすることが出来るのですが、それが上手くいかなかった、というケースも考えられます。ですから総安打数を全得点数で割れば、得点効率についての一応の指標はでるともいえます。
しかし、それでは、逆に3安打で3点、という試合は効率が良い、と無条件で言ってよいのでしょうか?ソロホームラン3発で3点とるのと、単打3本で3点、これらは同じ「3安打で3点」ですが、その「効率」については大きな開きがあります。
これはどういうことかというと、もしソロホームランの前に四球でランナーが出ていたら、相手エラーでランナーが出ていたら、本当はもっともっと点が入っていたはずです。だから必ずしも効率がよいとはいえない。逆に単打3本で3点とっている、というのは、四球や犠打などの安打以外のランナーを上手く利用して点をとっているはずですから、効率がとてもよいことになります。したがって、「11安打で3点」と一口にいっても、色々なパターンがあるので、点の取り方の上手い下手についてはもう少し深く掘り下げる必要があります。
スワローズはホームランが多いので安打数の割に得点が高くなるため、単純に安打数と得点数で得点効率を算出のは好ましくありません。そこで、「安打数」ではなく「塁打数」をかわりに用いることにします。本塁打は4、三塁打は3、二塁打は2、安打は1、として塁打数を加算し、それを得点で割り、1点をとるのにどれだけの塁打を必要としたか、を算出することで得点の「効率の良さ」を導きます。
つまり「得点効率」=「塁打数」÷「得点数」とすることにします。
さて、究極の効率のよい攻撃とは、もちろん無安打で1点をとる攻撃なのはいうまでもありませんが、通常そういう攻撃は運にも左右されるため滅多にありません。そこで、「四球」→「送りバント」→「タイムリー」というのが塁打1で得点1、なので得点効率1.0として想像しうる限りでは最も効率がよい攻撃の一例、ということになります。(「塁打数1」÷「得点数1」=「得点効率1.0」)
一方、ソロホームランで1点、というのは得点効率4.0(「塁打数4」÷「得点数1」=「得点効率4.0」)となり、同じ1安打で1点でも効率がよくない、ということがわかります。
近代野球では、大抵、塁打3で1点入ります。例えば、ヒット(1)+ヒット(1)+タイムリーヒット(1)=3とか、二塁打(2)+タイムリーヒット(1)=3とか、三塁打(3)+犠牲フライ(0)=3、といった具合です。そこで、得点効率3.0を通常想像できる得点効率の平均とし、この値より低ければ低いほど試合巧者、これより数値が高いと点取り下手、ということがいえます。
さっそくこの指標を各試合にあてはめてみます。
例えば、この前のゴンザレスが秋田で投げて勝った阪神戦(ヤクルトは5安打で4得点、阪神は15安打で3得点)、この試合の得点効率は、
ヤクルトは二塁打一本+単打4本で4得点なので、得点効率は(2+1×4)÷4=1.5
阪神は単打だけ15本で3点なので、得点効率は1×15÷3=5.0となり、明らかにヤクルトが上手に点をとっています。
逆に、11日の中日戦ではヤクルトは11安打で3得点でしたが、うち2点はリグスと岩村のソロによるもの。本塁打2本+単打9本で3得点なので、得点効率は(4×2+1×9)÷3=5.67 となり、通常の3.0を大幅に超えるウンコ攻撃をしていたことになります。
このような調子で各チームの全試合の効率を調査してみました。基本的に負け試合は効率が悪く、勝ち試合は効率がよくなりますので、勝ち試合と負け試合での効率も計算していきます。また、完封負けの場合は得点効率は∞になってしまうわけですが、その場合
3安打完封負けは3÷0=3<∞、散発9安打完封負けは9÷0=9<∞、という形にして、効率に差をつけて考えるようにしました(後者の方が効率が悪いことをはっきりさせるため)。
<7/12までの時点での得点効率>
スワローズ: 総塁打数1157 総得点数383 得点効率3.02
○+△試合: 総塁打数706 総得点数276 得点効率2.56
● 試合: 総塁打数451 総得点数107 得点効率4.21
こうみてみると、大体平均といえる3.0に近い数字が出ているため、とりたててスワローズは点をとるのが下手、とはいえないように思われます。特に勝ち試合は効率よく点をとっているといえます。
次に他のチームをみてみます。
ドラゴンズ: 総塁打数992 総得点数324 得点効率3.06
○+△試合: 総塁打数737 総得点数267 得点効率2.76
● 試合: 総塁打数255 総得点数57 得点効率4.47
タイガース: 総塁打数1073 総得点数323 得点効率3.32
○+△試合: 総塁打数777 総得点数255 得点効率3.05
● 試合: 総塁打数296 総得点数68 得点効率4.35
このように、上位のチームと比較してみても、スワローズは得点効率に遜色がないか、むしろよい。したがってスワローズはオトボケ岡田やオレ竜なんかより点をとるのが上手いチームであり、IDの伝統は生きている、ということがわかりました。
しかし、スワローズのリーグ戦、交流戦別に得点効率を計算してみると・・・
リーグ戦 : 総塁打数554 総得点数165 得点効率3.36
交流戦 : 総塁打数603 総得点数218 得点効率2.77
確かに交流戦の時は打線も活発だったのでかなり効率のよい攻めをしていたが、セリーグ相手の時は明らかに効率が落ちていることがわかります。最近攻め方が下手だなあ、ってイライラさせられる原因は案外ここにあるのかも知れません。
今回の検証でとりあえず古田監督の面目は保たれましたが、今後スワローズが上位チームとの投手陣の差をカバーして勝っていくためには、バントや四球をうまく選んで少しでも効率のよい攻めをしていかなければならないでしょう。 (この項おわり)
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コメント
なぜアウト与えることで得点するのが得点効率が良いことになるのか理解に苦しみます。
最も効率よく得点する方法はアウトにならずに得点することのはずです。
アウトを与えて1点とアウトを与えずに1点、比較するまでもなく後者のほうが得点効率が良いとは思えないのでしょうか?
そしてアウトにならずに得点する中で最小安打で得点する方法は安打1本で1得点する本塁打です。
投稿: 野球卿 | 2006年10月26日 (木) 10時18分
管理者さんのためにこんなサイトを紹介します。
http://www16.plala.or.jp/dousaku/zituhasonnnani.html
投稿: 野球卿 | 2006年10月26日 (木) 10時45分
それと安打と四球を区別する意味何でしょうか?
「四球」→「送りバント」→「タイムリー」と「安打」→「送りバント」→「タイムリー」。
前者は塁打数1の得点効率1.0ですが後者は塁打数2の得点効率2.0になります。
これは後者が得点効率が悪いということになるのですがどうなのでしょうか?
投稿: 野球卿 | 2006年10月27日 (金) 19時35分